6月4日午前11時頃の植田日銀総裁の、参議院財政金融委員会での発言
・「金融政策は先行き基調的見通しに沿って物価が上昇した場合、金利引き上げの理由となる」
・「政策の目的はあくまで物価の安定、財務配慮や財政資金調達支援で政策は妨げられない」
この発言で円高に振れることはなく、むしろ6月4日朝から続く円安の波に
歯止めはかからなかった。
しかし、昼過ぎ以降クロス円は全般的に上値が重く、徐々に円高に振れ始めたところに
本格的に欧州時間が始まる16時少し前頃に、氷見野日銀副総裁の発言が追い打ちをかけた。
・「金融緩和策が極めて長期間続く場合、それが経済の生産性や潜在的成長に与える
潜在的な影響を警戒する必要がある」
・実質的なゼロ金利の下限に直面している経済では、「為替、株式、不動産」などの
資産価格動向が、金融政策の重要な伝達経路として機能する可能性がある」
・物価と賃金が緩やかに連動して上昇している場合、企業は柔軟な価格設定の
自由度を増す可能性が高い」
・「いくつかの指標は、基調的インフレ率がまだ2%に満たないことを示しているが、
徐々にその水準に向かって進んでいることを示している」
・基調的インフレの見極め、物価データだけではなく、賃金や企業行動など
様々な要因を見ていく必要がある」
これによって、日銀の早期の利上げ観測が高まり、クロス円は大幅に下落し
円高に振れていった。
氷見野日銀副総裁は今年に入ってから、円安が急激に進み始めた時にも為替を大きく
動かす発言をしており(この時は大きく円安に振れた)、氷見野副総裁の発言には
今後も注意深く観察していく必要があるようだ。
さらに今回の円高背景には、総選挙で揺れるインド株の過去最高高値からの急下落で
リスクオフの円買いの要因にもなっているようだ。
日経リーク記事や総裁、副総裁の発言、海外の金融動向にも目を光らせる必要が
今後もありそうだ。
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