タクシーが病院まで向かう。
向かっている車内でも、悶えながら体を左右にクネクネさせながら痛みに耐えていた。
あまりの痛みから徐々にイライラしてきて、運転手さんの「大丈夫ですか?」
「どうしたんですか?」とかいう質問にも語尾を強めて答えてしまっていた。
ようやく病院に着きフラフラと受付まで行くと、そこは救急外来も無い小さな病院で
すぐには診察が出来ないと言われた。
一応、今がどういう症状でどういう状態かと、もう耐えられないということを
伝えたが順番を待ってもらうしかないとのこと。
たしかにそうだ。
俺が逆の立場なら「具合の良し悪しで診察の順番変えるのかよ、予約の意味無いじゃんっ」
などと捲し立て、吠え散らかすことだろう。
そうこうしてる内に痛みと怒りが頂点に達した俺は、受付の目の前で
当てつけとも言わんばかりに、119をした。
まさか自分が自分のことで救急車を呼ぶことになろうとは。
周りの病院スタッフ、診察や会計を待っている人達の怪訝そうな視線などは
今の自分にはどうでも良いことだった。
どのくらいで救急車というものは到着するのだろうか?
連絡を受けて、状態と場所を聞いて、準備して向かう。
と、いった流れなのかどうかは定かではないが、どう頑張っても数十分はかかる算段で良いだろう。
ただ、この待っている時間ももちろん辛いのである。
痛い、痛い、痛い・・・痛い。
腰なのか腹なのかもわからないが、ずっと痛いし、先程から周りの視線も痛い。
そろそろ周りの視線の方が耐えられなくなった頃に、ようやく救急車到着。
もう大丈夫、もう助かった、さすがに。
短時間の間にいろいろあったが、すーっと胸を撫で下ろした。
・・・・・・・・甘かった。
神様はまだこのワタクシ目に試練をお与えになるのですね?
そう心の中で呟いていた。
救急車にストレッチャーごと挿入されたら、病院へGO-----っ
とはならない、甘い甘い。
まず生年月日、名前、住所、こうなった経緯、今の症状と事細かに聞いてくる。
・・・・・・その場でっ!!!!
なんと救急車はその場から動かない。
迎えに来た病院に停まったまま、質問を繰り返してくる。
特にどう考えても自分のせいなのだが、免許証の住所と今の住所はなんで違うのか?
ということへの問いかけが止まらない。
「色々あるんです」「面倒だっただけです」
最後に「もう勘弁してください」と漏れかけた。
ただ一つだけ言わせてくれ。
動きながらじゃダメですか?病院に向かいながら質問するのじゃだめですか?
そのあと質問が終わり、しばらくして病院に着いた頃には、
意識も絶え絶え状態であった。イロイロありすぎて・・・・
救急治療室に着くや否や、先生、看護師3~4人全員が口を揃えて、
「たぶんアレだね」と腹のあたりを押したりしながら言う。
「いや、俺が痛いのは背中なんだけど」と思いながらも、正直途中から背中が痛いのか
腹が痛いのかはわからなくなっていた。
「これは、尿管結石ですね~」
尿管結石?聞いたことある。
「でもこんなに痛いものなんですか?」
一説によると世界三大激痛は
・群発頭痛
・心筋梗塞
・尿管結石(尿路結石)
知らなかった、世界を代表する三大激痛とは・・・。
だいたいの人が救急車で来院するとのこと。
痛み止めを打って、3時間ほどの点滴でちょっとは痛みが和らいだが、
まだまだ痛い。
ピークに痛かった時がちょうどイガイガボール状の石が、細い通り道を
通貨している時で、今は通り過ぎてるからさっきよりは痛みは弱いらしい。
ただ、なんと予備軍がもう2匹ほどいるらしい。
最悪だ。
助けて下さいっ。
いっぱい水飲む以外に簡単な対処法がないらしく、二日酔いの時の
対処法みたいなことを言われた。
点滴も終え、トボトボ帰路に着く2021年の災難。
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